Ⅲ.脳の高次機能と活動 学習のしくみ 記憶・学習機能の発達と変化

記憶や学習能力の高さは、一生通じて変化します。一般には加齢により能力が低下するとされていますが、その変化には、脳自体の器質的変化が関与しています。今日はこの辺を勉強しましょう。

 

ヒトの脳では、ニューロンの数が最大になるのは妊娠7週目です。その後、過剰に生産されたニューロンの淘汰が行われたのち、誕生を迎えます。

 

出生後、ニューロンの数は変わりませんが、生後2~8か月の間に、今度はシナプスの数が急増します。たとえば出生児の大脳皮質のニューロンは約2500ですが、3歳までに15000にも増えます。このシナプス数は成人の2倍だと言われています。

 

脳の重量自体も、400gから1kgと生後1年で出生児の2.5倍に発達します。重量増加の要因は脳の支持細胞であるグリア細胞の増加および神経線維の髄鞘化(ずいしょうか)、すなわち伝導速度の高速化にあります。

 

乳幼児の神経回路は、あらゆる感覚情報と記憶に関して可塑性(かそせい)が非常に高く、出生後のさまざまな経験から、まさに脳がめざましい発達を遂げます。

 

乳幼児期に急増したシナプスは、じつは10歳くらいまでに減少し、以後は一定の数に落ちつきます。この間に、よく使用されて強化されたシナプスだけが残され、それ以外は余剰のシナプスとして“刈り込み”がおこなわれるのです。

 

そのシナプスが生き残るかは、個人の経験によると見られています。

 

ヒトは多くの経験を重ねることでシナプスが整理されて、脳内の多くの部位が協働して認知ネットワークを形成していきます。その高次の認知機能は前頭連合野で行われていますが、この部位の発達スピードは脳全体のなかでもっとも遅く、20年ほど、すなわち成人になるまでかかります。

 

児童期から増加する脳の灰白質量は、青年期で最大になります。このことは、学習能力の点ではピークであることを意味します。高次認知機能も20歳くらいで完成します。

 

したがって脳の発達はせいぜい20歳どまりということになりますが、白質は40歳くらいまで増加すると言われています。白質の増加は、軸索の髄鞘化の進展を意味しており、学習能力は低下しても、成人以降も機能性は高まることになります。

 

灰白質で占められる前頭連合野の容積は、20歳以降、10年毎に約5%ずつ、ゆっくり減少していきます。それにともない、認知機能は加齢とともに低下していきます。

 

ただし、認知機能の衰えはもちろん、灰白質や白質の容量低下の度合いは、個人差が非常に大きいです。

 

こう読んでみても、私の頂頭葉、後頭葉の話が出てこない…

私の認知機能の低下はいったいどういうメカニズムなんだろう(とだんだんわからなくなる…)