アルツハイマー病治療薬・アデュカヌマブを迅速承認 臨床的ベネフィットの明確化で追加的RCT要求

 米食品医薬品局(FDA)は6月7日(現地時間)、アルツハイマー病治療薬としてアデュカヌマブ(米国製品名:Aduhelm)を迅速承認しました。現在の治療薬は症状を改善するものしかないなかで、脳内のアミロイドβプラークを減少させ、アルツハイマー病の病理に作用し、早期アルツハイマー病の認知機能低下を長期的に抑制する可能性のある、初のアルツハイマー病治療薬となります。ただ、FDAは承認に際し、臨床的ベネフィットを明確にするために新たなランダム化比較試験の実施を求めました。臨床的ベネフィットが確認されなかった場合、FDAは承認を取り下げる手続きを開始することができるとしています。同剤は、エーザイとバイオジェンが共同開発を進めており、米国ではバイオジェンが2020年7月に申請していました。

 同剤をめぐっては、3本の臨床試験アルツハイマー病の初期段階(軽度認知障害および軽度認知症)の患者3482人を対象に有用性が検証されました。「EMERGE」、「ENGAGE」の2本の臨床第3相試験が実施されましたが、独立データモニタリングコミッティが無益性(Futility)解析により、主要評価項目が達成される可能性が低いと判断したことを踏まえ、2本の臨床第3相試験の中止を2019年3月に発表しました。その後、新たな症例を加えた最終解析を行い、EMERGE試験では一転、主要評価項目を達成したことが発表されました。もう一本のENGAGE試験ではサブグループ解析では傾向を示したものの、主要評価項目を達成できなかったそうです。

 この結果を踏まえて昨年11月に開かれたFDAの末梢・中枢神経系薬物諮問委員会では、認知機能低下を遅らせるエビデンスは不十分との見解が大半を占め、専門家からは承認に対して根強い慎重論もあったそうです。一方で、アルツハイマー病治療薬をめぐっては、欧米のメガファーマなど治験の失敗が相次ぎ、2003年以降、新薬が出ていない状況にありました。このためアンメットニーズがきわめて高く、患者からは治療薬を待ち望む声があがっていました。同剤は優先審査品目に指定されていましたが、今年1月に審査期間が3か月間延長することが発表されていました。

◎処方時の警告に「アミロイド関連画像異常 (ARIA)」を明記
 同剤の処方時の警告としては、MRIで確認されるアミロイド関連画像異常 (ARIA) を明記しました。ARIAは無症候性で一時的なものが多いが、頭痛や錯乱、めまい、視覚障害、吐き気などの症状を伴うケースもあります。また、血管浮腫や蕁麻疹などの過敏症反応のリスクについても警告に明記し、注意喚起しています。同剤の最も一般的な副作用は、ARIA、頭痛、転倒、下痢、および錯乱/せん妄/精神状態の変化/見当識障害です。

◎Patrizia Cavazzoniディレクター「疾患プロセスを標的とする最初の治療法だ」
 FDA医薬品評価研究センターのPatrizia Cavazzoniディレクターは、「現在利用可能な治療法は、病気の症状を治療するだけだが、この治療選択肢はアルツハイマー病の根底にある疾患プロセスを標的とし、影響を与える最初の治療法だ。がんとの闘いから学んだように、迅速承認は、より多くの研究と革新を促進しながら、より迅速に患者に治療法をもたらすことができる」とコメントしています。

◎日本は20年12月にバイオジェンが申請
 認知症患者は全世界で2050年に1億5200万人まで増加すると推計されています。進行を2年遅らせると、2050年までに世界の医療費を含む社会的負担が22.5%減少する可能性があるとされています。国内では2020年12月に、バイオジェンが申請しています。

エーザイじゃなかったんですね)