Ⅱ.神経系の構造と機能 特殊感覚を伝える神経の構造 聴覚伝導路のしくみ

聴覚情報は、空気の振動として感知されています。どの情報も外耳→中耳→内耳の順に奥へと送られ大脳皮質の聴覚で処理されています。今日はこの辺を勉強しましょう。

 

耳は、空気の振動として伝わる音を感知して、大脳皮質へと送る感覚器官です。

 

体外に突出している耳介は、音を広く集める役割を担います。耳介から入った音は、外耳道という音の共鳴管を通り、奥の鼓膜に達します。鼓膜は厚さ0.1mm程度の線維性の膜です。上部5分の1は線維性が少なく弛緩していますが、それ以外は張りがあります。

 

鼓膜までを外耳といい、鼓膜からは中耳になります。鼓膜に伝わった振動は、鼓膜下に接したツチ骨先端から、中耳に伝えられます。

 

中耳には、鼓室と呼ばれる空洞があり、上部にある耳小骨(ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)という小さな骨が存在します。部分的に連結されたこの3つの小骨を伝わる間に、音の振動の圧力は鼓膜で受けたときの20~30倍に増幅されます。

 

鼓室の奥の内耳には、骨迷路と呼ばれる、迷路のような複雑な形をした膜迷路という袋状組織があり、骨迷路と膜迷路の間は、外リンパ、膜迷路のなかは内リンパという液で満たされています。

 

複雑な骨の形の骨迷路には蝸牛(かぎゅう)、前庭、半規管の3つの部位がある。そして中耳の鼓室に通じる、卵円窓(らんえんそう)、正円窓(せいえんそう)という開口部があります。音の振動は、卵円窓を塞いでいる中耳のアブミ骨から内耳に入り、リンパ液の振動として蝸牛に伝えられる。

 

蝸牛は、その名の通りカタツムリの空のようならせん組織をもち、その底部を蝸牛底、頂上を蝸牛頂といいます。水の振動となった音は、前庭階(ぜんていかい)という通路を蝸牛頂に向かって上がっていき、蝸牛頂に至ると、鼓室階を通って正円窓へと降りてきます。

 

膜迷路の一部には蝸牛管と呼ばれる管があり、その下壁である基底膜の上に、音の受容器であるコルチ器が存在します。

 

蝸牛管全長にわたって存在するコルチ器には、感覚細胞である有毛細胞があり、その感覚毛で音を感知しています。感覚毛が受ける振動の機械的刺激によって脱分極し、活動電位を生じます。

 

コルチ器の聴覚情報は、蝸牛神経として伝わり、いくつかのニューロンを介して、大脳皮質の聴覚野に投射します。

 

蝸牛管では音の高低を識別して感知しており、神経核や聴覚野への投射も特定の周波数に対応しています。一次聴覚野には周波数局在性があり、対応領域は、前庭が低音で、後部に行くほど高音になっています。