Ⅱ.神経系の構造と機能 運動を司る神経の構造 反射運動のしくみ

運動には、大脳で企画され末梢に伝わる随意運動のほかに、脊髄や脳幹レベルでコントロールされ無意識におこなわれている反射運動があります。今日はこの辺を勉強しましょう。

 

運動ニューロンによる運動制御は、基本的に随意運動、すなわち意識なしでの動作です。しかし日常動作のなかには、熱湯に指が触れると反射的に指を引っ込めるといった、無意識の動作があります。これを反射運動といいます。反射運動は、脊髄や脳幹などの運動制御経路でパターン化されたもので、大脳の指令を受けることなく起きます。

 

反射運動の代表が、以下に示した伸張反射や屈曲反射です。腱反射とも呼ばれる伸張反射は膝蓋骨(しつがいこつ)の下をハンマーなどで叩くと、足が上がる反応です。膝蓋骨の下にある腱が刺激されて筋紡錘が興奮し、それがⅠa群線維によって脊髄に送られ、α運動ニューロンに刺激が伝導し、足が上がるしくみです。

 

屈曲反射は、熱いものにふれると反射的に手を離したり、足裏に痛みなどの異常を感じると足を上げるといった反射です。この反射には、複数の屈筋と伸筋に複数のニューロン、複数の介在ニューロンが関わっています。

 

 

立ったり座ったり階段を上がったり、日常さまざまな動作を行っても、普通はバランスを崩して倒れたりはしない。これは姿勢反射と呼ばれる反射運動で、姿勢制御が行われているからです。伸張反射と屈曲反射は脊髄が運動制御を行っていますが、姿勢制御の中枢は脳幹にあります。

 

姿勢反射のひとつである前庭頸反射(ぜんていけいはんしゃ)は、上半身が傾いたときに頭部を垂直に保とうとする反射で、司令塔は延髄から橋にかけて存在する

前庭脊髄路(ぜんていせきずいろ)を通り、頸筋の運動ニューロンによって、頭部を反対方向に向けさせます。

 

頭部が動いたとき、視線を一定に保つ反射を、前庭動眼反射(ぜんていどうがんはんしゃ)といいます。これも前庭神経核が司令塔になっています。